鉄は木より強い?

住まい便り

 以前鉄骨系のHMに勤務していた頃、営業担当は元よりお施主様にも「鉄骨の方が丈夫そうだから」と選ばれている方もいましたので、一定の割合で同じイメージをされている方もいらっしゃると思います。私もそのように考えている部分もあるのですが、そうではない部分についても紹介しておこうと思います。

鉄は燃えないが曲がる

 ニュースで見る火災現場は99%木造です。また、小さい頃から木は燃えるものと教わってきたので、多くの方が火災を想像して「鉄骨の方が安心」と思われるようです。
 しかし、近年木造の大型施設が建設されるようになった背景には、木材の表面が燃えた後に炭化してそれ以上燃焼を広げない効果が認められたことにあります。表面的には数センチの深さで炭になってしまいますが、燃えなかった部分がしっかり残っていれば材としての強度は確保されるということです。(ただし単一の木材で耐火建築物の主要構造としては認められませんが)
 一方、鉄に関しては火災で高温になると強度が著しく下がり、ぐにゃりと曲がってしまいます。これは鉄自体が熱によって溶かされ加工されている材料ですから、当然といえば当然のことです。大体550度で柔らかくなります。ちなみに、厳密にいうと鉄も燃えます。

 普段の生活からイメージしづらいですが、万が一の火災の時には鉄の方が強度として残りにくいのが現実です。室内からの出火については特に警戒が必要です。

なお、火災保険では鉄骨造の方が無条件で安くなります。木造の場合は省令準耐火構造以上で鉄骨造と同じ価格帯になります。ちょっと経緯はわかりませんが、今後こういった昔ながらの基準に則ったものは変化していくと思われます。

構造計算の結果が重要

 構造計算によって求められる強度が同じであれば、鉄骨造と木造に大きな優劣は生じません。ただ、現在は耐震等級が定められているので最高等級の3以上の強度が出ても、表示状の意味はありません。こちらも今後震災等による基準の見直しによって変更がなされていくと思います。
 大事なのは「鉄骨だから安心」「木造は弱い」というイメージを捨てて、数値で強さを判断することです。メーカーオリジナルの構造計算ソフトだとか自社開発の接合部、耐力壁だとか色々あるのですが、最終的には数字でしか優劣がつけられないのが現実なのです。

鉄骨造最大のデメリットは熱橋

 強度とは関係ありませんが、鉄という材質は熱を伝えやすいです。窓ガラスもサッシ部分がアルミの場合と樹脂等の場合では断熱性能が雲泥の差です。サッシは直接外気に触れてしまうため、モロに影響を受けるのですが、構造体の場合は外気に触れない、室内に伝えない施工がとても重要です。また、鉄は伸び縮みも激しいため、夏や冬に変形し夜な夜な「バチン!」と音がすることも。これは水平、垂直に鉄骨同士を引っ張っているブレース(または耐力壁)などが変形している時に出る音なのです。以前、夜中に変な音がして眠れないとご意見を頂いたことがありました。

 熱が伝わってしまうと光熱費が高くなってしまいますし、元々鉄骨系メーカーは気密性能が低い傾向なので、太陽光などの創エネ設備より前に家としての基本性能を上げてもらった方が良い気がしています。

まとめ

 少し鉄に不利な話が多くなってしまいましたが、鉄骨造と木造のみならず頭の中にある先入観を捨てて考えることがより良い家づくりへの一歩です。営業トークを一頻り聞いた後はゆっくり情報を整理してみましょう。

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