間取りは面積ではなく「容積」で考える

住まい便り

 間取りを検討する時に「寝室は8畳以上」や「LDKは20畳くらい」といったご要望をお聞きする機会が多いです。間取りで言うと「○LDK」くらいメジャーな印象です。これは平面的に捉えた際の広さなので、実際の空間は高さ方向に空間がありますので、同じ6畳でも感じ方が変わってきます。これが面積ではなく「容積」で考えよう!という趣旨の出発点です。

容積で考えることが大事な理由 

 最近は天井高が高いことに価値がある様なコマーシャルが多い気がしますが、高ければ良いかと言うとそう単純な話しでもありません。最近のテレビやパソコンの画面を観察しているとよくわかりますが、縦横比がひと昔前に比べて変わってきています。アスペクト比と言いますが、最近は16 : 9が主流で、昔は4 : 3でした。縦に対して横の比率が大きくなっているので、全体的に横長に変化したことがわかります。(昔のビデオ再生すると横に黒い余白できますよね)

 横長の比率の方が、比較的広がりを感じやすいと言われていますので映画なども16 : 9の方が情報量を多く伝えることができます。住空間においても同じことが言えて、無闇に天井を高く設計すると牢屋や独房の様な比率になってしまい、面積で感じる印象よりも広さを感じにくいケースがあります。

8畳の空間(3.64m×3.64mの平面)の場合は天井高が約2mで16 : 9の比率になります。流石に低すぎるので最低でも天井は2.2mや2.4m確保しますが、これが2.7m程度になると正方形に近づきます。立っている時はそこまで感じませんが、ソファーなどに座ると縦方向がかなり高く感じるので、バランスがあまりよくありません。

このように空間を面積ではなく容積で考えると、その空間の役割や演出によって天井高さは細かく設定していく必要があることがわかります。座って過ごすことが多いスペースは思い切って天井を下げた方が広さを感じることができます。

メリハリが大事

 すべての空間を16 : 9にすれば快適かと言うとそう言うこともありません。全ての天井が同じ高さだと窮屈です。また、変化が乏しい空間は生活していても楽しくありません。基本的な部屋は低く抑えて、リビングだけは吹き抜けと組み合わせて高く確保する、玄関やホールはかなり低くして別の空間に行った時の広さを強調するなど、シーンに合わせた設計をした方がメリハリが効いて印象も良いです。(細長くて暗いトンネルを抜けた先に絶景が待っていた!みたいな感じです)

重心が低いと構造的に安定しやすい

  空間の縦横比を意識して設計すると、全体的に重心が下がります。この状態は構造的なメリットをもたらしてくれます。重心が高いと爪先立ちの様な状態になり、地震などの揺れに対して変形が大きくなります。(電車で立っている時を想像する理解しやすいと思います。)低く足を広げた方が、揺れに対してどっしり構えることができるので比較的有利になります。また、家全体の高さを抑えることで材料費の削減によるコストダウンも可能です。

まとめ

 「寝室は○畳が必須!」という考え方もありますが、個人的にはタイトルにある様に容積で検討されると良いと思います。また、座る空間、立つ空間、寝る空間それぞれに適した高さ計画をしていくことで、落ち着きや広がりを感じることができます。家には家の適切な高さ、広さがありますので、平面図などの二次元情報だけで終わらせない検討がより良い住まいへの近道になると思います。

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