住宅ローン控除をちょっと深く知る

お金の話し

 消費税増税に伴って最長13年に延長された住宅ローン控除ですが、23年度からは控除額の見直しが予定されたりと、住宅取得を考える上でとても気になる制度です。しかし、意外と住宅ローン控除について知らない方もいらっしゃいます。
 特に、最近のご相談でも「400万円もらえると思ってました」という方もいらっしゃいました。ここでは簡単に住宅ローン控除を理解できるようにかなりかいつまんだ紹介をします。

所得税が還ってくる

 住宅ローン控除のベネフィットは所得税が還ってくることです。サラリーマンの方であれば、毎月の給与明細から「いろんな」お金が引かれていることはご存知と思いますが、この一つが所得税です。
 例えば、額面で年収500万円の方は手取りが約390万円程度で、残りは社会保険料や厚生年金、所得税や住民税となります。このうち所得税は年間約14万円の徴収なので約14万円が控除対象となります。

 所得税はその年に稼いだ給与に対して決まるので、給与が年度中に変化すると微妙にブレが生じます。そのブレを年末に正しく計算し、取り過ぎた分は還付という形をとっているのです。(年末調整といいます。)住宅ローン控除を利用していない方でも、年末の給与がいつもの月より多いという経験をされた方は多いのではないでしょうか。
 住宅ローン控除を利用すると、この所得税が年末に還ってくることになります。

 よくある勘違いが、「年末残高の1%」が全て還ってくると思っているケースです。例えば、年末残高3500万円の1%は35万円ですが、年収500万円の場合は所得税が約14万円なので還付も14万円となります。

控除仕切れない分は住民税に

 所得税が控除限度の40万円となるには、額面で年収740万円程度必要です。これでは世間のほとんどの人が恩恵を十分に受けられなくなってしまうので、所得税で控除仕切れない分は住民税から差し引かれる仕組みとなっています。

先ほどの年収500万円、年末残高3500万円のケースで試算すると、控除限度35万円(3500万円の1%)に対して所得税は約14万円、住民税は約24万円となりますので、合計して38万円です。

① 35 – 14 =21(万円) 控除限度から所得税額を引く
② 24 – 21 = 3(万円) 翌年度の住民税から控除額を引く
。。。
いえ、実はそんなに美味しすぎることもありません。
実は住民税の控除は上限が決まっており、その額13万6500円です。

② 24 – 13.65 = 10.35(万円)が控除後の住民税額です。

簡単な計算ではありますが、このケースでは年末に所得税が全額還付され、控除仕切れなかった金額が翌年度分の住民税から136,500円を上限に差し引かれます。なお、住民税を全額控除しても控除仕切れない場合にはそれ以上の恩恵はありません。
 ちなみに、所得税と住民税の全額控除を狙えるのは年収約330万円の方となります。借入額も2000万円くらいが妥当です。(所得税+住民税が約20万円)
なお、年収約670万円あたりになると、所得税額が約26万円となり住民税の控除上限136,500円と合わせて約40万円ですから、制度を無駄なく使うのに適した収入ということになります。

借入5000万円以上は長期優良住宅も検討視野に

 住宅ローン控除をうまく活用するためには、付随するその他の制度についても知っておくと便利です。例えば、控除額の上限が5000万円にアップする長期優良住宅制度は、所得税が50万円を超える年収約820万円の世帯や、住民税控除限度と合わせて50万円になる740万円クラスの世帯から検討するのが効率的です。

住宅ローン控除の計算方法は以下の通りです。

パターン10年控除13年控除
控除上限総額
(長期優良住宅)
4000万円
(5000万円)
4000万円
(5000万円)
控除額の計算方法・年末ローン残高の1%
・納める税額
・40万円(50万円)
・年末ローン残高の1%
・納める税額
・40万円(50万円)
特例なし11-13年について
・年末ローン残高の1%
・建物価格の2%の1/3
・40万円(50万円)

控除はあくまでおまけ程度に

 知っておけば有効に活用できる住宅ローン控除ですが、注意点がいくつかあります。

控除のために借入を増やさない

 控除制度が目的化してしまい、無駄に借入を増やすことはお勧めしません。金利が低いこともあって、借入額の調整が一昔前に比べれば容易になりましたが、控除をフル活用するために借入を増やしても、長期的に見れば損をしてしまいます。なぜなら控除期間は多くの場合、住宅ローンの借入期間より圧倒的に短いからです。
 もちろん、負担が大きくない範囲で増額を検討するのは問題ないと思っています。自己資金が潤沢で、手元資金を残しておいた方が良いライフプランの場合などがこれに当たります。

確定申告が必要

 サラリーマンの方にとって確定申告は未知の領域でしょう。しかし、これを行わないと控除は受けられません。以前レアなケースで、住宅購入後に確定申告をした結果、副業がバレてしまったという方がいました。(住民税の申告でミスがあったようです。詳しく知りたい方は「副業 住民税」で検索してみてください)

 いずれにせよ慣れない作業になりますので、作業が期限ギリギリにならないように気をつけましょう。今年はコロナの影響で二年連続して4/15が締め切りです。
 多くの方が同じハードルを感じているため、ネットには親切な確定申告のやり方がたくさん記事になっていますので、そちらをご覧になってください。(意外と簡単なので、いきなり書籍など買わないように。)

まとめ

 うまく活用することで大きなメリットが得られる住宅ローン控除制度。2023年度には大幅な見直しが検討されており、今のような控除額を手にすることは難しくなるかもしれませんし、借入のパターンに変化が起きるかもしれません。
 しかし、焦ることはありません。住宅ローン控除以外にも様々な住宅支援策が他にもありますし、これからも拡充していくはずです。
むしろ焦って、後から後悔するような家づくりは誰もいい思いができません。コロナ禍で消費行動が変わっている今だからこそ、一度落ち着いてから家づくりを考えましょう。

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