職人不足、高齢化が及ぼすデメリット

住まい便り

 時々お問い合わせを頂くのが、「現場を見に行ったら全員外国人だった。施工は大丈夫なのか?」という内容。私も現場を見に行くことがあるのですが、そういった場面に出会すことは珍しくありません。
 おそらく「大丈夫なのか?」という言葉には「ちゃんとできるのか?」という意味が含まれていると思いますが、多くの場合、きちんと研修を受けたり、施工方法などがわかりやすく指示されているため誰が施工しても一定の精度が出るようになってきています。
 今回は、近年増えてきた建設業における外国人労働者の増加の裏側について紹介したいと思います。

リーマンショックで加速した職人離れ

 バブル景気が終わりを告げる頃から、建設業は3K(きつい、汚い、危険)のイメージが根強く残っています。今ほど「安全」に配慮された仕事場ではありませんでしたし、縦社会がこれほど浸透している業種はなかなかありません。景気が悪くなり、賃金も落ち着いて行けば若い人から建設業を志す人がどんどん減っていきました。
 その後、2008年のリーマンショックで建設業全体が大きく沈むと、転職や廃業を余儀なくされてしまい、その後も若い職人が減り続けました。平成29年のデータでは建設業全体に占める29歳以下の割合が11%となり、逆に55歳以上の割合が34.1%と高齢化が進行しています。このため、後継者不足問題や技術の継承先がなくなり産業全体の衰退が危ぶまれています。

進む分業化

 家を建築する時、非常にたくさんの業種の職人が出入りをします。地盤改良をする業者、基礎を施工する業者、、、その中でも中心的な役割を担うのが大工工事です。家づくり=大工さんとイメージされる方も多いと思います。大工さんは仕事の範囲が広く、工事でも最も長く現場に残り、作業を進めてくれています。
 ところが近年は大工さんも若手が育っておらず、年配の熟練大工さんが目立ちます。そこで最近目にするようになったのが、部分工(例えば石膏ボードを貼る専門の業者さん)です。
 先日驚いたのが、現場で石膏ボードの施工不良があったので是正をお願いしたところ、「私は天井しか貼っていないので」と断られたことです。そう、天井のボード貼り専門というニッチな業種?が生まれていたのです。

単純作業に置き換えて手数を増やす

 一般的に部分工は作業単価が安いです。それは専門的な知識を必要とせずとも施工ができ、手離れが良いためです。近年はクラウドソーシングで必要な作業と単価で条件が合えば日単位で仕事をこなすことができます。上述の外構人労働者が増えてきた要因もこの辺りにあると考えられます。
 日々コストダウンが求められ、仕事の単価も下がる中にあって人手も足りない。こうなると安く任せられる職人ばかりになってしまいます。安いことが悪いことではありませんが、待遇に変化がなければ高齢化や技術の低下はますます避けられなくなってしまうでしょう。

まとめ

 大手ビルダー現場の職人さんの愚痴を聞いたことがあります。「これだけやって一棟○○万円だよ?どうしたらいいんだよ」

 安くて良い商品を求めるのは購入者の性です。私もその1人に過ぎません。ですが、建設業界のことを考えると、単に安いということで完結してはいけない気がしています。
 もしお給料が低かったら、モチベーションは上がるでしょうか。きっと上がりませんよね。そこに住むものとして、作り手には気持ちよく良いものを作ってもらいたい。その一心です。もし、ご自宅の建設中の現場で職人さんを見かけたら一声かけてあげて下さい。

その一言で、救われる気持ちがきっとあります。

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