「ZEHなのに寒いのですが」

相談事例
https://otaka-sumai.com/wp-content/uploads/2021/01/インスタ用ロゴ内装-300x300.jpg
すまいラボ

みなさんはZEHをご存知でしょうか。「ゼッチ」と呼ばれていますが、正式にはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略となっています。ハウスメーカー各社や工務店などでも対応している会社が増えてきました。政府も「2020年には標準的な新築住宅の半数はZEH仕様となるように」様々な施策を打ち出してきました。代表的な例は補助金で、一時期には総額200万円以上の補助が受けられた時代もありました。(国以外にも自治体独自の補助金を含む)その折は紙や郵送での申請でしたので補助金業務で忙殺された記憶があります。このZEHに関してのご相談・トラブルをご紹介します。

ZEHとは何か

 ZEH(ゼッチ)とは、一言で言えば「使うエネルギーよりも作るエネルギーの方が多い」状態の住宅のことです。省エネ性能に加え、エネファームや太陽光発電といった創エネ設備を設置することで実現を目指すものとなっています。
 ゼロエネルギーという言葉が使われているので、あまり詳しくない人からすると「光熱費がタダになるのでは?」と思われることもありましたが、ネットゼロですから正味ゼロと言うことになります。光熱費は使った分の請求がちゃんと来ますのでお間違いのないように。また、電気料金などが売電と売電で正味ゼロではなく、あくまでエネルギーの総量が正味ゼロなので注意が必要です。

ZHE基準が最高基準ではない

 ハウスメーカーなどが積極的に販売しているZEH住宅は高機能で高価格です。特に設備関係がかなりコストアップしますので採用された方の期待値は相当に高いです。しかし、ZEHに限ったことではないのですが、例えばZEH住宅がZEHの基準を満たしているかどうかは書類で事前申請・審査です。あくまでシミュレーション上の数値ということになります。ほとんどの場合で完成後に実証実験しているケースは稀でしょう。また、適合基準となる省エネ性能については断熱性能の基準がかなり甘くなっています。

以前も紹介させて頂きましたが、断熱性能とセットで重要な気密性能についての基準は直接的に設定されていません。(途中から努力目標に格下げされてしまいました。)その結果、特に初期のZEHにおいて「ZEH仕様にしたのに寒いじゃないか」というご意見が上がっているようです。

ZEHが高断熱・高気密とは限らない

 ZEHの認定には一定の省エネ性能を満たす必要があります。
【首都圏:6地域のUA値比較】

グレードUA値備考
H28年省エネ基準0.87以下冬季の最低体感気温が8℃を
おおむね下回らない
ZEH基準0.6以下
HEAT20 G2グレード0.46以下冬季の最低体感気温が13℃を
おおむね下回らない
HEAT20 G3グレード0.26以下冬季の最低体感気温が15℃を
おおむね下回らない

 如何でしょうか。日本国内の基準ではこのように並びますが、環境先進国ドイツではUA値0.3〜0.4程度となっており、諸外国と比べても日本の省エネ性能の基準がいかに低いかということがわかるかと思います。つまり、H28省エネ基準をベースに「ZEHは高断熱」というのは少し無理があるかと思っています。また、気密性を表すC値もZEHの基準にありませんから、そもそも検査してみないとどれくらいエネルギーをロスしているかは分からないのです。

たくさん作る+たくさん使う VS なるべく使わない

 快適性が同じなのであれば、後者の方が環境負荷は少なくなります。消費するエネルギーが正味ゼロというのは、「使った分も作るから実質的にゼロだよね?」という考え方をアクティブ(機械的)に解決しています。一方で、高断熱高気密住宅にはエネルギーを創る設備はないものの、日射取得、遮蔽や断熱性能の強化、隙間の少ない施工とすることでパッシブ(自然的)に解決することで、そもそもの消費量を下げる手法です。どちらが良いかは建主が判断することですが、ZEHだからオールOK!ということはなく、その内容が自分たちの暮らしに合っているかで判断していけるよう情報を整理しておきましょう。

関連記事

最近の記事

TOP