残価設定型の住宅ローン

お金の話し
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すまいラボ

「残価設定型」とは、下取りが前提となっており、取得時の価格と下取り価格の差額分のみを返済する仕組みです。2021年度から政府が民間金融機関を対象にモデル事業を開始するとの噂です。

 

 経済刺激の施策

 残価設定型が先行して導入されているのが自動車です。自動車を購入する際に任意の年数(買取時点の価格が残価となる)を決めて、買取時の価格との差額分を返済することになります。
 期限が来ると車体も返却となりますが、もしその車が気に入れば残価を払って買い取ったり、新しい車に乗り換えることができます。購入の負担を軽減し、短い期間で新しい車両を購入してもらうことで購入サイクルが早まって自動車会社は売上が上がります。返却後の車は中古車として別のオーナーに渡ることで、こちらも廃車の日まで市場を点々とします。
 

 この仕組みの重要なポイントは、買取も自動車会社が行っていることです。なぜなら、買取価格を設定して、数年後に設定した価格で買い取ることを保証することができなければ前提がおかしくなってしまいます。
 つまり、この残価設定型の仕組みが住宅業界に普及すれば住宅購入のハードルが下がり、購入意欲の増大と経済効果が期待できます。
反面、これまであまり日の目を見ることがなかったのは「買取を誰がするのか」という部分が定まっていなかったからです。車と違い、住宅は不動産会社にしか買い取れないため、残価の設定を購入時に決定できず住宅ローンを貸す銀行にとってはリスクしかありません。

 2019年に残価設定型の住宅ローン商品が発表されていました。旭化成ホームズと新生銀行が立ち上げた「支払額軽減住宅ローン:新生パワーセレクト」です。買取は旭化成ホームズが行い、新生銀行が購入資金を融資します。
 このようにハウスメーカー等の住宅会社が完成させ、スムストックなどの中古流通の枠組みが査定することで初めて成立するのが残価設定型なので、今回の報道では政府がこの取り組みを推進するということになるのでしょう。

 住宅はたくさんの人が関わって完成し、価格が高いので、経済に与える効果が大きいです。特に日本は住宅政策が経済政策の要になっていますので、住宅業界や建設業界はことあるごとに優遇されてきました。
 住宅ローン控除や住まい給付金を始めとした補助制度が充実しているのもこういった側面があります。残価設定型住宅ローンが普及すれば間違いなく年々落ち込んでいく住宅着工数も回復に向かうのではないでしょうか。

残価設定型のメリット、デメリット

 経済政策としての側面もさることながら、毎月の支払額を抑えることで家計に大きなメリットが出ます。また、買取不動産の流通を考えるとある程度資産価値が確保されるような建物にしなければいけません。施工やアフターメンテナンスが一層重要になりますので、品質向上への取り組みが加速するでしょう。
 一方、個性的で住む人を選ぶような間取りではこの仕組みを使えない可能性が高まります。簡単にいうと、LDKは18畳以上、3LDK、対面キッチンなど細かい指定があるかもしれません。この辺りの感覚は新築戸建ての分譲販売の企画に近いかもしれません。誰もが住みやすい間取り、悪くいうとマンションのようにある程度「型」に嵌めたプランニングが増えるかもしれません。
 また、下取りが前提になるので一生住みたいと思えば、期限後に再度購入する必要があり、場合によっては住宅ローンを再度組む必要が出てきてしまいます。残花設定型で終の住処という考え方はあまり浸透しないように思えます。

短期かつ優良な物件の流通に期待

 残価設定型が浸透すれば、中古市場が今以上に盛り上がります。新築と中古かの選択肢の間に優良中古物件が加わり選択肢が増えますし、流通量が増えて取引が増えれば不動産業者やリフォーム・リノベーション業者、各職人などの仕事も増加します。また、流通を前提とした住宅設計において「品質向上」は現場管理側の責任も増すことになり、これまで以上に品質の高い物件の生産が期待できます。安かろう、悪かろうという住宅が淘汰される時代が来るかもしれません。

 よくよく考えれば、住宅も資産ですから短期間での売却を前提とした購入計画も一般的になるかもしれません。例えばマンション購入希望の方がよく口にする「最悪売却したときに価格が下がらないから」ということが戸建て住宅でも起こり得るかもしれません。そうなると買い手も意識が変わってくると思います。
 

 大事な資産形成ですから、「住めれば良いや」という買い方は今後もお勧めできませんし、無理な住宅ローンを組む必要もありません。残価設定型にご興味がある方は今年一年の動向を見守りましょう。

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