エコキュートの騒音問題を考える

住まい便り

 数年前に現場監督をしていた時のこと。入居後すぐに近隣住民から夜間の異音でお呼び出しをされました。確認のため実際に現地を訪れて夜まで待っていると確かに「ぶぶぶぶぶ…」と振動に近いような音がします。さらに隣家の寝室にお邪魔すると、建物自体が細かく振動しているような不気味な響きがしました。正直これでは寝られない…とメーカーに相談すると、同じような事例が集中して発生していた時期でした。

エコキュートに関する過去記事はこちら↓

ヒートポンプの低周波問題

 エコキュートは簡単に言うと電気でお湯を作り、溜める設備です。そして水をお湯にするための熱はヒートポンプという、空気中の熱を回収し圧縮する装置の働きで作られます。このヒートポンプの作動音に超低周波(20Hz以下)が含まれているのですが、どうやらこの人の耳に聞こえないレベルの周波数帯の音圧レベル(dB)が突出して高い傾向があったということです。(ネットでは12.5Hzとする記事が多い。)2012年ごろから頭痛や不眠をうったえる事例の報告が増えていき、2014年には消費者庁が調査に乗り出しました。調査の結果、確かな因果関係は発見できなかったものの、エコキュートの撤去で症状が回復した事例もあったことから関係性が強いと判断され、メーカーにはその旨をカタログに記載する指示が出たそうです。(当時の記事はこちら)
 よく「低周波が悪さをしている」という記事を見かけるのですが、厳密にはこの突出して音圧レベルが高い低周波、超低周波が人体に何らかの影響を及ぼしているというのが正確な表現ではないでしょうか。また直接的な原因が解明されているわけではありませんし、わずかな確率でしか発生しないことから、ヒートポンプ式の熱原器が製造停止などにならなかったようです。

感じ方に個人差がある

 前述の通り、基本的には超低周波は耳に聞こえません。しかし、自分にはずっと聴いていると、まるで黒板を爪で引っ掻いた時のような寒気を感じました。隣家の住人曰く「そこまで不快ではない。」とのこと。自分はどうやらわずかの方らしいです。(場合によってはもっと)

 日本ではこの低周波問題が訴訟にまで発展したケースが何例もあり、その結果撤去や移動、防音壁の設置などを求められたそうです。このことからも、安易にヒートポンプユニットを寝室周りや隣家の生活スペース、寝室から離す配慮が必要不可欠となります。

エコキュートと低周波の相性が悪い

 消費者庁の調査によるとほとんどのケースで共通した傾向なのが不快に感じた時間帯です。夜〜明け方が最も多く、やはり周囲が静かになる時間帯に症状が出やすいとのこと。さて、エコキュートといえばその特徴が「深夜電力の活用」です。日中に比べて安い深夜電力を使用してお湯を作っておけば、コストを抑えながら翌日の湯切れリスクを抑えることができます。(ただし田のはtcd 区契約の内容によってはコストカットにつながらないケースもある)実際にgoogleで「エコキュート」と入力すると候補に「深夜電力」が上位に入っていきます。このお得な運用と低周波問題は切っても切り離せません。

家が揺れている…?

 個人的な体験談ですが、大袈裟にいうと低周波の影響なのか分かりませんが家が振動してブルブル?バリバリ?(表現が難しいです。。)と揺れているように感じたことがあります。調べていくとこれは共振現象ではないかと推測できました。関連する論文を読んでいると木造住宅の固有振動数が平均して6Hzだそう。場合によっては低周波が一致して想像を超えるような状態になっていたのではないかと思うようになりました。(共振?の事例についてはアメリカ・タコマ橋を参照
でも、流石にここまでは設計段階で気付けるかどうか…。

低周波問題について尋ねる

 前回の記事でも書きましたが、時々太陽光とエコキュートをセットで販売しにくる業者さんがいます。メインで売りたいのは太陽光だと思うのですが、ついでにエコキュート低周波問題について確認してみてください。個人の経験では全員この問題について知らなかったです。(3/3ですが。)業者にマウント取れということでなく、過去にご相談者様に業者に勧められて設置した後に、自身と隣家で健康被害が出てしまい自費で撤去工事になった方がいらっしゃいましたので、我が身を守るという意味で是非質問を投げかけてください。きっと役に立つと思います。

まとめ

 ここまでなにやらエコキュートを悪者扱いしてしまいました。ただ、これらのリスクをしっかりカバーして設置できれば非常に便利な住宅設備の一つに違いありません。採用したいと思ったら、是非一度これらの問題点についてもしっかり手綱を握ってなぁなぁにならないようにしましょう。

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